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インプラントの生存率

前回の記事と多少関連するのですが今回はインプラント治療の成功基準について。

現在国際的な論文でインプラントの10年生存率は95%以上と言われています。

もちろん当院で埋入したインプラントも10年生存率は95%を超えています、なおかつインプラント周囲炎のような病的な状態のインプラントも今のところありません。逆に10年生存率95%を達成できない歯科医師はよほど無理なケースにチャレンジしているか、基本的な手技にテクニカルエラーがあると考えられます。

また当院で治療完了後に脱落したインプラントはすべて過度の荷重がかかったために骨結合が破壊されたことが原因でした。
インプラント埋入時にうまく骨結合せず再手術になるケースは一定数の割合で出てきますので、この場合は生存率に含めていません、あくまでも治療完了後の生存率です。

治療完了後10年間のうちにインプラントの脱落や上部構造の破損などが起きて十分な機能を果たせなくなったと判断した場合は無償で再治療しています、しかし幸いにもそういったケースはごく少数に止まっており、今後10年越えのケースもおそらく大きな問題はでないと思っています。

それほど現在のインプラント理論はしっかりと確立されており信頼性もとても高くなっています。
かつてインプラントの失敗ケースがマスコミに取り上げられ、ずいぶんバッシングされていた時期もありましたが、それは適切なトレーニングを受けていない一部の歯科医師による過失が大きいと言えます。

しっかりとした審査機関による認定資格を持つ歯科医師を選択することは安心して治療を受ける一つの目安となるので、くれぐれも看板の大きさや多さを基準に歯科医院を選ばないでほしいです。
私が把握していない可能性もありますが、現在稲城市の歯科開業医の中で私はおそらく唯一の日本口腔インプラント学会専門医だと思います。

自分の歯でしっかり噛めて、美味しく食事が取れるということは年齢に関わらず全ての人にとっての幸福だと思います、そのために重要なのは日々の歯磨きと定期的な歯科検診とクリーニング、そして噛む力が全ての歯に均等に分散する理想的な咬合の確立です。

そのために小児期の永久歯生え替わり時に適切な萌出誘導とコントロール、場合によっては矯正治療を行い、成人になって欠損が生じた場合はできる限りインプラントや歯牙移植、矯正治療を駆使して残存歯に負担がかかるブリッジや入れ歯を避けること。

このように小児から高齢者になるまでしっかりと歯科医師によってコントロールされたルートを辿れば生涯自分の歯で美味しく食事ができると思います。

高齢者の患者さんで「自分はこの先長くないから歯なんて別にいいよ」とおっしゃる方がたまにいます、私はそんな時「人間最後は食べることこそが楽しみになりますよ」と答えています。