ブリッジとは歯が欠損した時に両隣在歯を土台にして、橋渡しし欠損部位を修復する治療法です。
歯は垂直方向にかかる力には強いのですが、横からの力にはとても弱いです、そのため土台となる歯が傾いていたりすると将来的に不安定な修復物となってしまいます。
実際の症例です、患者さんは65歳男性、左下6番の咬合痛と舌側部腫脹を主訴に来院されました。
エックス線像にて分岐部と根尖部に透過像、さらに残存歯質も薄い状態であることが分かります。
修復物を外してみると中は軟化象牙質(虫歯)でいっぱいです。
慎重に軟化象牙質を取り除いていきましたが途中でパーフォレーション(穿孔)したため、保存不能と判断し抜歯となりました。 また全身的事情によりインプラントは選択肢から除外され、ブリッジで治療を進めることになります。
クラウン除去前の側方面観、上下5番が嚙み合わないすれ違い咬合となっています。このままの状態でブリッジを入れると、倒れている歯に上から力をかけることになります。
そこで5番のクラウンを外し3457番にブラケット、NiTiワイヤーを装着し、5番を正常な歯列内に誘導することとしました。
ワイヤーの力によって5番には頬側方向に持続的な弱い力が加わっています。
およそ3か月後、理想的なポジションまで移動しました。
7番のクラウンも外し、支台歯形成を行い技工士さんにブリッジを作ってもらいます。
完成したフルジルコニアのブリッジ
口腔内に装着されたブリッジです、歯並びも自然です。
すれ違い咬合だった5番も上顎の歯と垂直的に咬合しています。とても 些細な事のように思えますが、このひと手間をかけることで長期的安定性に大きな違いがでてきます。
橋脚がこんなに傾いた橋を安全に使えるはずがないですよね。