親知らずを移植して有効活用する
保存不能となった歯を抜歯せざるを得なくなった場合、咬合に参加していない不要な智歯(親知らず)を抜歯と同時に移植するという方法があります
入れ歯やブリッジやインプラントといった人工物を用いなくとも、元々自分の体の一部を再利用するわけですから、うまくいけば非常に有意義な治療法だと言えます。
写真は右上の第一大臼歯が重度の歯周病により保存不能と判断した症例です
術前のプロービングデプス(歯周ポケットの深さ)は近心頬側4mm頬側8mm遠心頬側4mm近心舌側8mm舌側10mm遠心舌側6mmで動揺度は3です
よって保存不能と判断し抜歯の必要性を患者さんに説明、同時に智歯の移植術を提案させていただきました。患者さんの承諾を得て自家歯牙移植術を行います。
移植歯は抜歯した時点で歯髄壊死してしまうので、その後根管治療を行い補綴物を被せて完了となります
仮に移植歯が根未完成歯であれば根管治療が必要なくなる場合や最適なポジションに移植歯を位置させることができれば補綴処置が不要になったりと色々バリエーションもありますが、基本的には抜いたところに新しい歯を差し込むだけという技術的には非常に単純な処置であり、どの歯科医でもできる簡単な治療法だと思います。さらに治療費も保険適用なので安価でコストパフォーマンスにも優れています。
ブリッジや入れ歯やインプラントを選択する前に一度試してみる価値はあると言えるでしょう。