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セラミックス材料について

今回はセラミックス材料「IPS e.max」についてのお話です
e.maxを製造するIvoclar Vivadent社は、1923年に人工歯製造会社としてスイス チューリッヒで設立されました(現在はリヒテンシュタイン公国に移転)

今から15年ほど前、私がまだ歯科医師になって2~3年目の頃Ivoclar Vivadent社の「エンプレス」というセラミックス材料が世界中で注目されていました、このエンプレスはそれまでのセラミックス材料とは比べ物にならないほど審美的に優れていて非常に美しいという特徴がありました
しかし物性に乏しく非常に割れやすいという欠点があり、私が患者さんに装着したエンプレスもことごとく破折した記憶があります
そこでIvoclar Vivadent社は新製品としてエンプレスの3倍の強度を実現した「エンプレス2」の販売を開始します
しかしこのエンプレス2は強度が3倍になっても、なお臨床的に満足のいくレベルに達することができず、全くの期待外れ商品ということで世界中の歯科医が落胆したことだと思われます
そこで今度はIvoclar Vivadent社が満を持して発売したのが「IPS e.max」です
一説にはエンプレス3というネーミングにするつもりだったがエンプレス2の評判があまりにも悪かったため、イメージを払拭するためにあえてエンプレスの名称を外したとか。。何はともあれe.max導入後は特にトラブルもなく良好な術後経過を得ています。
 

術前の状態、矯正治療が完了し銀歯を白くしたいというのが患者さんの主訴です

最後臼歯以外のメタルインレーをセラミックインレー(e-max)に交換しました

 

現在のところセラミックス材料としてのe.maxは審美的にも物性的にも十分に満足のいく材料だと思っています、しかし5年10年先はさらに進化した材料が出てくるかもしれないので今後どのような評価になるかは分りません。
ところでハイブリットセラミックというセラミックとレジンを混合した材料がありますが、このハイブリットセラミックは装着時はきれいなんですが2~3年すると見るも無残なほどに摩耗してしまうので現在当院では取り扱っておりません。