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延長ブリッジ(カンチレバーブリッジ)について

カンチレバーとは片持ち梁の意味で、支える台(支台)となる歯の延長上にダミーの歯(ポンティック)がつくことから延長ブリッジ、カンチレバーブリッジと呼ばれます
ポンティックに加わる咬合力によって支台への負担は通常の両側支持のブリッジよりも大きくなるためトラブルが発生するリスクが高くなります

そのため当院では天然歯の延長ブリッジは原則行っておりません(これまで数々のトラブルを見てきたので)、ただしインプラントの場合はケースによって、まれに行うことがあります。
写真の症例は4番部の歯槽骨と付着歯肉が大きく失われてしまったため、埋入におけるリスクを避けるためカンチレバーを選択しました。
 

 

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4番の歯根が破折している状態で時間がかなり経過しているため下顎歯槽骨に大きな吸収が見られます

 

 

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歯槽骨が吸収した部位は付着歯肉も大きく失われています、そこで欠損部を避けるようにインプラントを埋入しました

 

 

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完成したカンチレバーブリッジ

 

 

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カンチレバー装着後

 

 

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インプラントの周りには十分な付着歯肉があります

 

 

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レントゲン像です、これで固いものも噛むことができるようになりました

 

 
次の症例は6年前に当院で上顎小臼歯部に2本のインプラントを埋入し第一大臼歯をカンチレバーで補綴した症例です
 

 

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小臼歯部に2本のインプラント埋入

 

 

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カンチレバー装着後

 

 

パノラマ

レントゲン像

 

 

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6年後、特に問題なく良好に機能しています

 

 
このケースは上顎洞が近接していたので、それを避けるためにカンチレバーを選択しました、当時は上顎洞に積極的な介入をしたくなかったのと患者さんの咬合力が弱かったので、このような設計を選択しましたが、今だったら積極的に上顎洞を挙上することを考えますので、おそらくこのような設計はしないと思います。

インプラント学会の指針によると『症例により解剖学的位置関係からインプラント体を埋入できず、カンチレバーにしなくてはならない場合もある、その場合は力学的なことを考慮しなければならない』とあります。できるだけ避けたい設計ではありますが、臨床的には致し方ない場合もあります。